第5章

東京銀座のネオンの下、松島桜という名は、咲き誇る桜の花のように、ビジネス界で人々の目を引く輝きを放っていた。

「松島グループが東京中心部の二つの重要商業プロジェクトを落札したというニュースは、すでに東京の商圏に広まっています」

佐々木健が書類を一部手渡す。

「これは高橋家が裏で我々の動向を探っているものです」

松島桜は軽く瞼を上げ、口元に冷笑を浮かべた。

「好きに調べさせればいいわ」

「それと、松島社長のお母様が六本木に新会社を設立されました。社長の二十六歳のお誕生日プレゼントだそうです」

松島桜の瞳に、珍しく柔らかな光が宿った。

「母はいつもこうなのよ」

「松島グ...

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